自社のマーケティングに悩む事業者の方にとって、顧客との接点をどのように作り、どうやって関係を深めていくかは大きな課題となっています。
メールマガジンでは開封率が低く、専用アプリは開発コストがかかりすぎる。
そんな中で注目を集めているのが、LINEを活用したマーケティングです。
日本国内では9,900万人以上がLINEを利用しており、多くの人が日常的にチェックするコミュニケーションツールとなっています。
しかし、LINE公式アカウントだけでは顧客一人ひとりに合わせた細やかなコミュニケーションを取ることが難しいという課題があります。
そこで登場したのがLステップです。
- 行動追跡で自動分類・関心度を数値化(タグ機能・スコアリング)
- 複数条件で詳細な絞り込み配信が可能(セグメント配信機能)
- 顧客状況別にメニュー画面を切替(リッチメニュー切り替え機能)
- 登録後の育成から購入後まで自動化(シナリオ配信機能)
- 詳細分析とLINE内で完結するフォーム(回答フォーム・分析機能)
Lステップは、LINE公式アカウントの機能を大きく拡張し、顧客の行動や属性に応じて自動的にメッセージを配信したり、一人ひとりに合わせた情報提供を可能にしたりするツールです。
導入することで、手作業で行っていた配信作業の大幅な削減や、顧客との関係性の深化が期待できます。
本記事では、Lステップの基本的な仕組みから公式LINEとの違い、具体的にできることまでを、専門知識がない方にもわかりやすく解説していきます。
- Lステップとは何か、その基本的な仕組み
- 公式LINE単体とLステップを導入した場合の機能の違い
- Lステップに搭載されている主な機能とその役割
- 実際にLステップを使って何ができるのか
- Lステップ導入のメリットと事前に確認すべき注意点
Lステップとは公式LINEに顧客管理機能を追加できる外部ツール
Lステップは、LINE公式アカウントと連携して使用する外部ツールです。
LINE公式アカウント単体では実現できない高度な顧客管理やマーケティングの自動化を可能にします。
株式会社Maneqlが提供しており、2025年6月からは無料のフリープランも登場したことで、より多くの事業者が利用できるようになりました。
このツールは、マーケティングオートメーションと呼ばれる仕組みを採用しており、顧客との関係構築や育成を自動化し、効率的に管理することができます。
マーケティングオートメーション導入により、業務効率化やコスト削減の効果が報告されている事例があります。
ただし、具体的な効果は業種や施策内容、運用体制によって大きく異なります。
Forrester Researchが実施したリードナーチャリングプログラムの有効性に関する調査では、「適切に設計されたリードナーチャリングプログラムは、リードコンバージョン率を最大50%向上させ、リード獲得コストを最大70%削減する可能性がある」ことが明らかになりました。[13]
引用:ResearchGate Marketing automation processes as a way to improve contemporary marketing of a company
Lステップを導入する最大の目的は、顧客一人ひとりの状況や興味に合わせた情報提供を自動で行うことです。
従来のメールマガジンのように全員に同じ内容を送るのではなく、それぞれの顧客が必要としている情報を、適切なタイミングで届けることができるようになります。
ただし、決済処理などは外部システムとの連携が必要です。
この個別最適化されたアプローチにより、顧客満足度の向上と、マーケティング効率の改善が同時に実現できる可能性があります。
公式LINEアカウントに連携して使う拡張サービス
Lステップを利用するためには、必ずLINE公式アカウントが必要です。
LINE公式アカウントは、LINE株式会社が提供する企業や店舗向けのビジネスアカウントで、誰でも無料で開設できます。
Lステップは、このLINE公式アカウントのAPIを利用して動作する外部ツールという位置づけになります。
- LINE公式アカウントを開設する
- Lステップのアカウントを作成する
- LINE公式アカウントとLステップを連携させる
- Lステップの管理画面から各種設定を行う
- 自動配信やシナリオの運用を開始する
注意点として、Lステップは独立したツールであり、LINE株式会社とは直接の関係はありません。
あくまでLINE公式アカウントのAPIを活用した外部サービスという点を理解しておく必要があります。
また、LINE公式アカウントの利用料金とは別に、Lステップの利用料金も発生します。
登録者一人ひとりに合わせた配信を自動化できる
Lステップの最大の特徴は、顧客の行動履歴や属性情報をもとに、一人ひとりに最適化されたメッセージを自動で配信できる点です。
例えば、ある商品ページのリンクをクリックした人には、その商品に関連する詳しい情報を送り、クリックしなかった人には別の商品を紹介するといった使い分けが可能になります。
- 顧客の行動追跡(メッセージ開封、ボタンタップ、リンククリックなど)
- 行動履歴に基づく自動タグ付け
- タグやセグメントに応じた配信内容の切り替え
- 配信タイミングの自動調整
- 顧客の関心度スコアリング
この仕組みを実現しているのが、顧客の行動を追跡して記録する機能です。
どのメッセージを開封したか、どのボタンをタップしたか、どのアンケートにどう回答したかといった情報が自動的に蓄積されていきます。
蓄積された情報をもとに、次に送るメッセージの内容やタイミングを自動的に調整することができます。
従来のマーケティング手法では、このような個別対応を行うには膨大な人手と時間が必要でした。
しかしLステップを活用することで、一度設定を行えば、その後は自動的に適切な情報が配信され続けます。
これにより、マーケティング担当者は戦略の立案や改善といった、より重要な業務に時間を使えるようになります。
公式LINEだけではできないことがLステップで可能になる
LINE公式アカウントは無料で始められる便利なツールですが、基本機能だけでは限界があります。
特に、顧客一人ひとりの状況に応じた細やかな対応を行うには、機能が不足しているのが実情です。
メッセージの配信方法、顧客情報の管理、自動化の範囲など、様々な面で制約があります。
Lステップを導入することで、こうした課題を解決し、より効果的なマーケティング活動が展開できるようになります。
単なる情報発信ツールから、顧客との関係を深めるためのコミュニケーションプラットフォームへと進化させることが可能です。
ここでは、公式LINE単体とLステップを組み合わせた場合の具体的な違いを見ていきましょう。
どのような場面でLステップの導入が効果を発揮するのか、そして自社にとって必要な機能なのかを判断する材料として参考にしてください。
公式LINE単体では細かな個別管理や高度な分岐が難しい
LINE公式アカウントの基本機能でも、友だち期間・性別・年齢・OS・地域といった基本属性での絞り込みや、オーディエンス機能を使った行動履歴に基づく配信、ステップ配信による自動化が可能です。
ただし、詳細な個別スコアリングや複雑な条件分岐、高度な分析機能には限界があります。
LINE公式アカウント単体の配信の制限
| 項目 | 制限内容 |
|---|---|
| セグメント条件 | 友だち期間、性別、年齢、OS、地域などの基本属性 |
| 行動履歴の活用 | オーディエンス機能で一部可能だが、詳細な個別管理は困難 |
| 配信タイミング | ステップ配信で自動化可能(オーディエンスによる分岐も可) |
| 顧客管理 | 限定的 |
| 自動化範囲 | 基本的な自動応答のみ |
例えば、商品Aに興味がある人だけに商品Aの詳細情報を送りたいと考えても、LINE公式アカウント単体ではその判別ができません。
また、友だち登録後の時間軸での配信はステップ配信機能で可能で、オーディエンスを使った条件分岐にも対応していますが、Lステップのような細かいスコアリングや多段階の行動トリガー、詳細な分析機能には対応していません。
オーディエンス機能により、メッセージ開封やリンククリックなどの行動履歴に基づく絞り込み配信は可能ですが、個別の顧客ごとに詳細な履歴を管理し、ポイント制のスコアリングや複雑な多条件分岐を行うことは困難です。
このため、LINE公式アカウント単体での運用では、すべての友だちに対して画一的な情報発信しかできず、顧客一人ひとりのニーズに応じた細やかなコミュニケーションを取ることが難しいという課題があります。
Lステップなら顧客の行動や属性に応じて配信内容を変えられる
Lステップを導入すると、顧客の様々な情報を自動的に収集し、その情報に基づいて配信内容を柔軟に変更できるようになります。
収集できる情報は多岐にわたり、基本的な属性情報だけでなく、過去にどのメッセージを開封したか、どのボタンをタップしたか、アンケートにどう回答したかといった行動履歴まで記録できます。
- 顧客の行動履歴に基づいた配信(リンククリック、ボタンタップなど)
- 複数条件を組み合わせた細かなセグメント設定
- 時間軸を考慮した自動配信(登録後◯日目など)
- 顧客の関心度スコアに応じた配信内容の変更
- 購入履歴や来店履歴に基づく個別対応
例えば、美容室を経営している場合、カットに興味がある人とカラーに興味がある人では、送るべき情報が異なります。
Lステップでは、顧客がトークルーム内の「カット」ボタンをタップした時点で、その人を「カットに興味がある顧客」として自動的に分類できます。
そして、カットに関する最新情報やキャンペーン案内を、その顧客だけに配信することが可能になります。
また、顧客の関心度を数値化する機能も備えています。
メッセージを開封したら3点、リンクをクリックしたら5点といった形でポイントを自動的に加算し、一定のポイントに達した顧客を「購入意欲が高い顧客」として識別できます。
この情報をもとに、購入意欲が高い顧客には積極的な営業アプローチを行い、まだ関心が低い顧客には教育的なコンテンツを送るといった使い分けが可能になります。
月間配信数や予算に応じてどちらを使うか判断する
LINE公式アカウントとLステップのどちらを使うべきかは、事業規模や目的によって変わってきます。
判断する際の主なポイントは、月間の配信通数、運用にかけられる予算、そして実現したいマーケティング施策の内容です。
料金プラン比較表
| サービス | プラン名 | 月額料金 | 配信可能数 |
|---|---|---|---|
| LINE公式アカウント | コミュニケーション | 0円 | 200通 |
| LINE公式アカウント | ライト | 5,000円 | 5,000通 |
| LINE公式アカウント | スタンダード | 15,000円 | 30,000通 |
| Lステップ | フリー | 0円 | 200通 |
| Lステップ | スタート | 5,000円 | 5,000通 |
| Lステップ | スタンダード | 21,780円 | 30,000通 |
| Lステップ | プロ | 32,780円 | 50,000通 |
配信通数が少なく、全員に同じ情報を送るだけで十分な場合は、LINE公式アカウント単体で問題ありません。
例えば、地域の小さな飲食店が定期的にランチメニューの案内を送るだけであれば、わざわざLステップを導入する必要はないでしょう。
しかし、顧客の興味や行動に応じて配信内容を変えたい、購入までの流れを自動化したい、詳細な顧客管理を行いたいといった場合は、Lステップの導入が効果的です。
特に、オンライン商品の販売や、継続的な顧客育成が必要なビジネスモデルでは、Lステップの機能が大きな価値を発揮する可能性があります。
Lステップに搭載されている代表的な機能
Lステップには、マーケティング活動を効率化し、顧客とのコミュニケーションを最適化するための様々な機能が搭載されています。
基本的な配信機能から、高度な分析機能、外部連携まで、幅広い機能が用意されており、これらを組み合わせることで、自社のビジネスに最適なマーケティング戦略を構築できます。
ここでは、特に利用頻度が高く、効果が期待できる主要な機能について解説していきます。
タグ付けによる顧客管理、シナリオ配信による自動育成、セグメント配信による最適化、リッチメニューの切り替えによるユーザー体験の向上、そして回答フォームによるデータ収集など、それぞれの機能がどのような役割を果たすのかを具体的に見ていきましょう。
これらの機能を組み合わせて使うことで、より高度なマーケティング戦略を実現できます。
初めて導入する方は、まず基本的な機能から始めて、徐々に高度な機能を活用していくことをおすすめします。
友だち一人ひとりに自動で目印をつけて管理できる
Lステップには、顧客に自動的に「タグ」と呼ばれる目印をつけて分類・管理する機能があります。
このタグ機能により、膨大な数の友だちを効率的に整理し、それぞれの状況に応じた対応を行うことが可能になります。
タグは自由に作成でき、一人の顧客に複数のタグを同時につけることもできます。
例えば、「女性」「30代」「商品Aに興味あり」「過去に購入経験なし」といった形で、様々な角度から顧客を分類できます。
これらのタグは、顧客の行動に応じて自動的に付与することも、手動で追加することも可能です。
- 属性タグ: 性別、年代、居住地域など
- 興味関心タグ: 興味のある商品カテゴリ、関心のあるサービスなど
- 行動タグ: 特定のリンクをクリックした、動画を視聴したなど
- ステータスタグ: 新規顧客、既存顧客、休眠顧客など
- 購入履歴タグ: 購入済み商品、購入金額帯など
タグの自動付与の仕組みとしては、特定のボタンをタップした時、特定のメッセージを開封した時、アンケートで特定の選択肢を選んだ時などに、あらかじめ設定しておいたタグが自動的に追加されます。
この仕組みにより、担当者が一人ひとりの顧客情報を手作業で更新する必要がなくなり、常に最新の状態で顧客情報を管理できます。
また、タグを活用することで、後述するセグメント配信の精度が大きく向上します。
複数のタグを組み合わせて、非常に細かい条件で顧客を絞り込むことができるため、より適切な相手に適切な情報を届けることが可能になります。
登録後の日数に合わせて段階的にメッセージを送る
シナリオ配信機能は、あらかじめ作成しておいた複数のメッセージを、設定したスケジュールに従って順番に配信する機能です。
LINE公式アカウントにも「ステップ配信」という類似の機能がありますが、Lステップのシナリオ配信では、リンククリックやタグ、スコアなどより多様な条件での分岐設定が可能です。
基本的な使い方としては、友だち登録した日を起点として、「1日後に商品の紹介メッセージ」「3日後にお客様の声を送る」「7日後に購入を促すメッセージ」といった形で、段階的に情報を提供していきます。
この方法により、どのタイミングで友だち登録されても、すべての顧客に同じ順序で同じ情報を届けることができます。
シナリオ配信の主な設定項目
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| 配信タイミング | 登録後◯日目、◯時間後など |
| 配信時刻 | 特定の時間帯を指定可能 |
| 配信曜日 | 平日のみ、土日のみなどの設定 |
| 分岐条件 | クリックの有無、タグの有無など |
| 終了条件 | 購入完了、特定のタグ付与など |
Lステップのシナリオ配信が優れているのは、配信の分岐機能が充実している点です。
例えば、3日目のメッセージ内のリンクをクリックした人とクリックしなかった人で、その後の配信内容を変えることができます。
クリックした人には次のステップへ進み、クリックしなかった人には別のアプローチを試すといった柔軟な設定が可能です。
また、配信時間も細かく設定できます。
平日の昼休みに送る、土日の午前中に送るといった曜日や時間帯の指定も可能なため、顧客がメッセージを読みやすいタイミングを狙って配信できます。
興味のある人だけに絞って情報を届けられる
セグメント配信機能は、特定の条件に当てはまる顧客だけを選んでメッセージを送る機能です。
LINE公式アカウントにも絞り込み配信機能はありますが、Lステップのセグメント配信はより詳細な条件設定が可能で、複数の条件を組み合わせることもできます。
絞り込みの条件として設定できる項目は非常に多岐にわたります。
性別や年齢といった基本的な属性情報はもちろん、特定のタグがついている人、特定のシナリオを受信中の人、最後にメッセージを送ってから何日経過している人、特定のアンケートに回答した人など、様々な角度から顧客を絞り込めます。
- タグによる絞り込み: 「商品Aに興味あり」かつ「未購入」
- 行動による絞り込み: 過去7日間にメッセージを開封した人
- シナリオによる絞り込み: 特定のシナリオを受信中の人
- 時間による絞り込み: 友だち登録から30日以上経過している人
- 除外条件: 特定のタグがついていない人を対象
例えば、「女性で」「30代で」「商品Aに興味があるタグがついていて」「まだ購入していない人」だけに、商品Aの特別キャンペーン情報を送るといった使い方ができます。
このように細かく絞り込むことで、興味がない人に不要な情報を送ることがなくなり、ブロック率の低下にもつながります。
さらに、配信後の効果測定も詳細に行えます。
どのセグメントに配信したメッセージの開封率が高かったか、どのセグメントからの購入率が高かったかといったデータを分析することで、今後のマーケティング戦略の改善に活かすことができます。
友だちごとに表示するメニュー画面を切り替えられる
リッチメニュー切り替え機能は、トークルーム下部に表示されるメニュー画面を、顧客の状況に応じて自動的に変更できる機能です。
LINE公式アカウントでもリッチメニューは設定できますが、基本的には全員に同じメニューが表示されます。
Lステップでは、顧客ごとに異なるメニューを表示させることが可能です。
例えば、新規の友だちには「はじめての方へ」「商品一覧」「よくある質問」といったメニューを表示し、すでに購入経験がある顧客には「マイページ」「リピーター特典」「新商品情報」といったメニューに切り替えることができます。
この仕組みにより、それぞれの顧客が必要としている情報に素早くアクセスできるようになります。
- 新規顧客向け: サービス説明、よくある質問、お問い合わせ
- 既存顧客向け: 購入履歴、ポイント確認、リピーター特典
- 見込み客向け: 資料請求、無料体験、事例紹介
- VIP顧客向け: 専用クーポン、先行案内、特別サポート
- キャンペーン期間中: 期間限定オファー、カウントダウン
リッチメニューの切り替えタイミングも柔軟に設定できます。
特定のタグがついた時、シナリオの特定のステップに到達した時、特定の日時になった時など、様々な条件で自動的に切り替わるよう設定可能です。
また、リッチメニューのデザインも自由にカスタマイズできます。
画像やボタンの配置、色使いなども調整できるため、ブランドイメージに合わせた見た目にすることができます。
スクロール可能な横長のメニューも作成できるため、多くの情報を整理して提示することも可能です。
アンケートや申し込みフォームで情報を集められる
回答フォーム機能は、LINE内で完結するアンケートや申し込みフォームを作成できる機能です。
外部のWebサイトに遷移させることなく、トークルーム内で直接情報を入力してもらえるため、顧客にとっての手間が少なく、回答率が高くなる傾向があります。
フォームで収集できる情報の種類は多様です。
名前、電話番号、メールアドレスといった基本情報から、選択式の質問、自由記述の質問まで、様々な形式の質問項目を設定できます。
また、収集した情報は自動的に顧客情報として保存され、タグ付けやセグメント配信の条件として活用できます。
- テキスト入力: 名前、住所、メールアドレスなど
- 数値入力: 電話番号、年齢、予算などの数字
- 選択式(単一選択): 性別、興味のある商品カテゴリなど
- 選択式(複数選択): 興味のあるテーマ、利用したいサービスなど
- 日付選択: 希望日、生年月日など
- 自由記述: 要望、質問内容など
例えば、商品の好みを尋ねるアンケートを実施した場合、「Aタイプが好き」と回答した人には自動的に「Aタイプ好き」というタグがつき、その後Aタイプの商品情報を優先的に配信するといった使い方ができます。
このように、回答内容に応じて自動的にアクションを設定できるのが、Lステップの回答フォームの大きな特徴です。
また、フォームのデザインもカスタマイズ可能です。
背景色やボタンの色を変更したり、画像を挿入したりすることで、ブランドイメージに合わせたフォームを作成できます。
回答後に表示するメッセージも自由に設定できるため、お礼のメッセージや次のアクションへの誘導もスムーズに行えます。
Lステップを使うと具体的にどんなことができるのか
ここまで解説してきた各機能を組み合わせることで、実際のビジネスシーンで様々な活用が可能になります。
理論だけでなく、具体的な使用例を知ることで、自社での活用イメージがより明確になるでしょう。
Lステップは、見込み客の獲得から育成、購入、そして既存顧客のフォローアップまで、カスタマージャーニーの全体をカバーすることができます。
マーケティング活動の自動化により、担当者の工数を削減しながら、顧客一人ひとりに最適化されたコミュニケーションを実現できる点が大きな強みです。
以下では、代表的な活用シーンを紹介します。
これらはあくまで一例であり、業種や商材、ビジネスモデルに応じて、さらに多様な活用方法が考えられます。
自社のマーケティング課題と照らし合わせながら、どのような場面で活用できるかを検討してみてください。
商品に興味を持った人を自動で購入まで導く
見込み客の育成から購入までの一連の流れを自動化することは、Lステップの最も代表的な活用方法の一つです。
この仕組みを構築することで、マーケティング担当者の工数を大幅に削減しながら、購入率を向上させることが期待できます。
- 友だち登録時にアンケートで興味を確認
- 回答内容に応じて自動的にタグを付与
- タグごとに最適化されたシナリオ配信を開始
- 顧客の行動(開封、クリックなど)でポイント加算
- 一定ポイント到達で購入促進メッセージを送信
- 購入完了で育成シナリオを終了
具体的な流れとしては、まず友だち登録時にアンケートで興味のある商品カテゴリを尋ねます。
回答内容に応じて自動的にタグがつき、それぞれの興味に合わせたシナリオ配信が開始されます。
例えば、ダイエット商品に興味があると回答した人には、ダイエットに関する有益な情報を数日かけて段階的に提供していきます。
この過程で、顧客の関心度を測るための仕掛けも組み込みます。
たとえばメッセージ内のリンクをクリックしたら5点、動画を視聴したら10点といった形でポイントを加算し、一定のポイントに達した顧客を「購入意欲が高い」と判定する設定が可能です。
購入意欲が高いと判定された顧客には、限定クーポンや特別オファーを提示して購入を促します。
一方、関心度が低いままの顧客には、別のアプローチを試みます。
お客様の声や実際の使用例を紹介したり、無料サンプルの案内を送ったりすることで、徐々に興味を高めていきます。
このように、それぞれの顧客の状況に応じた最適なアプローチを自動的に実施できるのが、Lステップの強みです。
購入後のお客様に定期的なフォローメッセージを送る
既存顧客へのフォローアップとリピート促進も、Lステップが力を発揮する領域です。
一度商品を購入してくれた顧客との関係を継続的に保ち、再購入につなげることは、ビジネスの安定的な成長に不可欠です。
購入後フォローの自動化スケジュール例
| タイミング | 配信内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 購入直後 | お礼メッセージ+使い方ガイド | 顧客満足度向上 |
| 3日後 | 使用感の確認 | 問題の早期発見 |
| 1週間後 | 活用のコツ紹介 | 商品価値の最大化 |
| 2週間後 | 関連商品の紹介 | クロスセル |
| 1ヶ月後 | リピートクーポン | 再購入促進 |
| 使い切る頃 | 補充リマインド | 買い忘れ防止 |
購入直後には、お礼のメッセージとともに商品の使い方ガイドや活用のコツを送ります。
購入から1週間後には「使ってみていかがですか」といった確認メッセージを送り、困っていることがないかケアします。
購入から1ヶ月後には、関連商品の紹介や次回使えるクーポンを送って、再購入を促します。
このような一連の流れも、シナリオ配信機能を使えば自動化できます。
購入日を起点として、あらかじめ設定したスケジュール通りにメッセージが配信されるため、担当者が一人ひとりの購入日を管理する必要がありません。
また、商品によっては消耗品の補充タイミングを予測してリマインドを送ることも効果的です。
例えば、30日分の化粧品を購入した顧客には、購入から25日後に「そろそろなくなる頃かもしれません」というメッセージとともに再購入のリンクを送ります。
顧客にとっても買い忘れを防げるため、満足度向上にもつながります。
セミナーやイベントの参加申し込みを自動で受け付ける
イベント管理機能を活用することで、セミナーやイベントの告知から申し込み受付、リマインド送信までを自動化できます。
この仕組みにより、運営側の事務作業を大幅に削減できるだけでなく、参加者の満足度向上も期待できます。
まず、イベントの告知をセグメント配信で興味がありそうな顧客に送ります。
告知メッセージ内に設置した申し込みボタンをタップすると、回答フォームが表示され、参加者は名前や連絡先などの必要事項を入力します。
申し込みが完了すると、自動的に「イベント参加予定」というタグがつき、参加者リストに追加されます。
- イベント告知をセグメント配信
- 申し込みフォームで参加者情報を収集
- 自動返信で申し込み完了メッセージ送信
- 1週間前、3日前、前日にリマインド配信
- イベント当日の案内を自動送信
- 終了後にお礼とアンケートを送信
イベント開催日の1週間前、3日前、前日といったタイミングで、自動的にリマインドメッセージを送信します。
メッセージには、イベントの詳細情報や会場へのアクセス方法、当日の持ち物などを含めることで、参加者の不安を解消できます。
参加者の情報を自動で整理して管理できる
イベント終了後も、参加者へのフォローアップを自動化できます。
参加のお礼メッセージとともに、イベント資料のダウンロードリンクや、アンケートフォームを送ります。
アンケートの回答内容は自動的に集計され、次回のイベント企画に活かすことができます。
また、複数回イベントに参加している顧客を特別に識別し、優良顧客として優先的に新イベントの案内を送ることも可能です。
参加回数に応じてポイントを加算する仕組みを作れば、リピート参加を促進することもできます。
さらに、イベントの種類ごとに参加者を分類することで、それぞれの興味関心に合わせた情報提供も可能になります。
マーケティングセミナーに参加した人にはマーケティング関連の情報を、営業セミナーに参加した人には営業関連の情報を優先的に送るといった使い分けができます。
問い合わせ内容に応じて適切な返答を自動で返す
キーワード自動応答機能を活用することで、顧客からの問い合わせに24時間365日即座に対応できます。
よくある質問については自動応答で対応し、複雑な問い合わせのみ人が対応するという役割分担により、カスタマーサポートの効率が大きく向上します。
自動応答の設定例
| キーワード | 自動返信内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 営業時間 | 営業時間の案内 | 即時回答 |
| 料金、価格 | 料金表の表示 | 情報提供 |
| アクセス | 店舗地図の送信 | 来店促進 |
| 予約 | 予約フォームへ誘導 | 予約受付 |
| キャンセル | キャンセル方法の案内 | 手続き円滑化 |
例えば、顧客が「営業時間」というキーワードを送信すると、自動的に営業時間の案内メッセージが返信されます。
「料金」と送信すれば料金表が、「アクセス」と送信すれば店舗への地図が表示されるといった形で設定できます。
キーワードのマッチング方法も柔軟に設定できます。
完全一致だけでなく、部分一致も選択できるため、「営業時間は」「営業時間を教えて」といった様々な表現に対応できます。
また、複数のキーワードを設定しておくことで、同じ意味の異なる表現にも対応可能です。
自動応答では対応できない複雑な問い合わせについては、自動的に担当者に通知が届く仕組みも設定できます。
特定のキーワードが含まれている場合や、自動応答で解決しなかった場合に、管理者のLINEアプリやメールに通知を送ることで、迅速な対応が可能になります。
Lステップを導入するメリットと事前に知っておきたい注意点
Lステップの導入を検討する際には、得られるメリットと同時に、事前に確認すべき注意点も理解しておくことが重要です。
自社の状況や目的に照らし合わせて、導入の適否を判断する必要があります。
マーケティングオートメーションツールの導入は、単なる業務効率化だけでなく、ビジネスモデル全体の変革につながる可能性があります。
しかし、その効果を最大限に引き出すためには、適切な運用体制の構築と継続的な改善が不可欠です。
ここでは、Lステップ導入によって期待できる具体的なメリットと、導入前に必ず確認しておくべき注意点について解説します。
費用対効果を見極め、自社にとって本当に必要な投資なのかを判断する材料として活用してください。
特に、初めてマーケティングオートメーションツールを導入する場合は、期待値と現実のギャップを理解しておくことが重要です。
マーケティング業務を効率化できるメリット
Lステップの導入により、これまで手作業で行っていた多くの業務を自動化できます。
顧客情報の管理、メッセージの配信、問い合わせ対応といった日常的な作業を自動化することで、担当者の負担が軽減される可能性があります。
ただし、効率化の程度は運用方法により異なります。
- 顧客情報の自動収集と整理
- メッセージ配信作業の自動化
- 問い合わせ対応の24時間365日化
- 顧客セグメント分類の自動実行
- 配信効果の自動集計と分析
- リマインド送信の自動化
一部の研究では、マーケティングオートメーションの導入により、反復的なタスクの自動化だけでなく、知識管理の中心的な役割を果たすことが指摘されています。
人間の担当者は、単純作業から解放されることで、より戦略的な業務に集中できるようになります。
また、24時間365日稼働する自動応答機能により、営業時間外でも顧客対応が可能になります。
深夜や早朝に問い合わせをしてきた顧客に対しても即座に基本的な情報を提供できるため、顧客満足度の向上にもつながる可能性があります。
データの収集と分析も効率化されます。
顧客の行動履歴や属性情報が自動的に蓄積されるため、マーケティング施策の効果測定や改善案の検討に必要なデータを、手作業で集める必要がなくなります。
こうしたデータをもとに、より精度の高いマーケティング戦略を立案できるようになります。
顧客との関係性を深められる理由
Lステップを活用することで、顧客一人ひとりのニーズや関心に合わせた情報提供が可能になります。
すべての顧客に同じメッセージを送るのではなく、それぞれの状況に応じた最適な情報を届けることで、顧客にとっての価値を高められる可能性があります。
日本マーケティング協会は、近年のデジタル技術の進展により、顧客に関する膨大なデータが蓄積され、顧客分析のためのテクノロジーの活用が高度化していると指摘しています。
近年、社会全体がデジタル化へ急速に進展し、AI、IoT、ビッグデータなどのデジタル技術を用いたDX(デジタルトランスフォーメーション)によるマーケティング施策が広がっています。そこではデジタル技術の実装を通して、顧客に関する膨大なデータが蓄積され、顧客の分析を目的としたテクノロジーの活用も高度化しています。
引用:公益社団法人 日本マーケティング協会 34年振りにマーケティングの定義を刷新
Lステップはこうした流れに沿ったツールであり、データに基づいた個別最適化されたコミュニケーションを実現できます。
- 個別ニーズに合わせた情報提供
- 適切なタイミングでのコミュニケーション
- 継続的なフォローアップの自動化
- パーソナライズされた特典の提供
- 顧客の声を反映した改善活動
タイミングの最適化も重要な要素です。
例えば、商品に興味を示したばかりの顧客には素早く詳細情報を提供し、検討期間が必要な顧客には適度な間隔を空けてフォローするといった調整が可能です。
こうした適切なタイミングでのコミュニケーションは、顧客の信頼感を高めることにつながります。
また、継続的なフォローアップも関係性の構築に効果的です。
購入後のケアメッセージや、誕生日の祝福メッセージなど、顧客を大切にしていることを伝える接点を自動的に作ることで、長期的な関係性を育むことができます。
導入前に確認しておきたいコストと運用体制
Lステップの導入にあたっては、費用面での検討が必要です。
LINE公式アカウントの利用料金に加えて、Lステップの月額料金が発生します。
2025年6月からはフリープラン(月200通まで無料)も登場しましたが、本格的に活用するには有料プランの契約が必要になる可能性が高いでしょう。
初期導入時の検討項目
| 検討項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 月間配信数 | 想定される配信通数と必要なプラン |
| 予算 | LINE公式アカウント+Lステップの合計費用 |
| 運用担当者 | 設定・管理を行う担当者の確保 |
| 学習時間 | 初期設定と習熟に必要な時間 |
| 運用体制 | 継続的な分析と改善の体制 |
| 効果測定 | ROI(投資対効果)の測定方法 |
スタートプランは月額5,000円で配信通数は月5,000通まで、スタンダードプランは月額21,780円で月30,000通まで、プロプランは月額32,780円で月50,000通までとなっています。
運用体制の構築も重要な検討事項です。
Lステップは多機能であるがゆえに、初期設定や継続的な運用には一定の学習期間と労力が必要です。
公式マニュアルやスポットコンサル、オンラインセミナーなどのサポートが用意されていますが、シナリオの設計、タグの設定、配信内容の作成といった作業を行う担当者を確保できるかどうかを確認しておくべきでしょう。
また、効果的な運用のためには、定期的な分析と改善が欠かせません。
配信したメッセージの開封率やクリック率を分析し、反応が良くなかった部分を改善していく継続的な取り組みが求められます。
こうした運用を継続できる体制が整っているかどうかも、導入前に確認しておきたいポイントです。
よくある質問
- LステップとLINE公式アカウントは同じものですか
-
いいえ、異なるものです。
LINE公式アカウントはLINE株式会社が提供する公式のビジネスアカウントで、Lステップは株式会社Maneqlが提供する外部の拡張ツールです。
Lステップを利用するには、まずLINE公式アカウントを開設し、それにLステップを連携させる必要があります。
- Lステップは無料で使えますか
-
2025年6月からフリープランが登場し、月200通までであれば無料で利用できます。
ただし、配信通数や使える機能に制限があるため、本格的に活用する場合は有料プランの契約が必要になる可能性があります。
有料プランは月額5,000円のスタートプランから用意されています。
- どのような業種でLステップは活用できますか
-
Lステップは業種を問わず幅広く活用できます。
飲食店、美容室、エステサロンなどの実店舗ビジネスから、ECサイト、オンライン教育、不動産、保険など、顧客とのコミュニケーションが重要なあらゆる業種で利用されています。
行政機関や教育機関での活用事例もあります。
- Lステップの設定は難しいですか
-
初期設定にはある程度の学習期間が必要ですが、Lステップの公式サイトには詳しいマニュアルが用意されており、オンラインでのサポート体制も整っています。
また、どのプランでもマンツーマンのスポットコンサルやグループ勉強会が利用できるため、初心者でも段階的に学習しながら活用できる環境が整っているといえます。
- 導入後すぐに効果は出ますか
-
効果が現れるタイミングは、業種や活用方法によって異なります。
シナリオ配信や自動応答などの基本的な機能は導入直後から効率化の効果が期待できますが、顧客データの蓄積や最適化には一定の期間が必要です。
継続的な運用と改善を行うことで、より大きな効果が期待できるでしょう。
- 既存の顧客管理システムと連携できますか
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Lステップは外部システムとの連携も可能です。
顧客データをCSV形式で出力したり、APIを通じて他のシステムと連携したりすることができます。
ただし、連携の詳細は利用するシステムによって異なるため、具体的な連携方法については事前に確認が必要です。
- 配信したメッセージが迷惑だと思われてブロックされないか心配です
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セグメント配信機能を適切に活用することで、興味のある人にだけ情報を送ることができ、ブロック率を抑えることが期待できます。
また、配信頻度の調整や、価値のある情報提供を心がけることも重要です。
Lステップの分析機能を使って定期的にブロック率をチェックし、配信内容を改善していくことをおすすめします。
まとめ
Lステップは、LINE公式アカウントの機能を大きく拡張し、顧客一人ひとりに最適化されたマーケティングを実現するツールです。
友だち登録者の行動や属性に応じて自動的にメッセージを配信したり、細かな顧客管理を行ったりすることで、マーケティング業務の効率化と顧客との関係性の深化が期待できます。
公式LINE単体では全員に同じメッセージしか送れませんが、Lステップを導入することで、タグ付け、シナリオ配信、セグメント配信、リッチメニュー切り替え、回答フォームといった多彩な機能を活用できるようになります。
これらの機能を組み合わせることで、見込み客の育成、既存顧客のフォロー、イベント管理、問い合わせ対応など、様々な場面で活用可能です。
導入のメリットとしては、手作業で行っていた業務の自動化による工数削減、顧客に合わせた情報提供による関係性の構築などが挙げられます。
一方で、費用や運用体制については事前にしっかりと検討する必要があります。
2025年6月からは無料のフリープランも登場したことで、まずは小規模から試してみることも可能になりました。
自社のビジネスモデルやマーケティング戦略に照らし合わせて、Lステップの導入が適切かどうかを判断し、効果的な顧客コミュニケーションの実現を目指してみてはいかがでしょうか。
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株式会社Maneql(マネクル) 株式会社Maneql(マネクル)
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